ブログ
Blog.無農薬栽培?いえ、農薬使っています
2022.11.30 Wed
今回はちょっと過激なタイトルですね。誤解されてしまったらどうしよう。
野菜もそうですけど、ハーブって体に取り入れるもの。作用や効能を期待して体に良いものを選びたいのに農薬まみれだったら本末転倒ですよね。
ハーブは虫よけ効果があると言われていますが、実際はとても虫がつきます。アブラムシやハダニ、アザミウマ、コガネムシやヨトウムシにも食べられてしまいます…。addHERBの自社農園LaunchFarmでも、ビニールハウスに網目の小さい防虫ネット等ですごく気を付けていても被害にあいます。なんで……どうして……?と泣きたくなります。農薬を使って一気に退治してしまいたくなりますが、安心安全なハーブをお届けしたいのでやはりできるだけ農薬は使いたくありません。
テントウムシって農薬なんです
テントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫として有名ですよね。そのテントウムシが農薬登録されているってご存じですか?農薬といったら化学薬品(化学農薬)だとばかり思っていたので私も知った時は驚きました。
益虫は「生物農薬」または「天敵製剤」と呼ばれ、農薬登録されています。昆虫だけでなく線虫や菌などの微生物もいて、害虫や病気の原因になる菌やウイルスを食べたり、寄生したり、感染したりとそれぞれの得意技でやっつけてくれます。これらの生物農薬たちには様々な種類がいて、日本では2020年10月の時点で合わせて95品目が農薬として登録されているそうです。
登録されている生物農薬は製品化されていて、LaucnFarmでもアブラムシを食べてくれるナミテントウ(テントウムシの一種)の幼虫や、ハダニを食べてくれるチリカブリダニを購入してビニールハウス内に放しています。だから、『農薬使っています。(といっても生物農薬ですけどね。)』
生物農薬のメリット
生物農薬はもしハーブについていたとしても洗った時に流れてしまうので、化学農薬のように作物全体に残留する心配がありません。また、化学農薬の耐性をもった害虫を制するために更に農薬を使うといった悪循環のリスクも生物農薬にはありません。安心安全なハーブをお楽しみいただけます。
生物農薬のデメリット
生物農薬のデメリットは、やはり虫食いです。後述しますが、農薬を使わずに栽培するとどうしても虫がついてしまいます。フレッシュハーブを出荷するときにはできるだけ綺麗なハーブを楽しんでいただけるよう細心の注意をはらって摘み取りをしていますが、中にはお手元に届いてしまうことがあるかもしれません。しかしハーブの香りや味には何の変りもありませんので美味しいハーブを安心してお楽しみいただけると幸いです。
生産者側のデメリットも、せっかくなのできいてください。
生物農薬は生き物なので限界があります。1日に食べられる量も決まっているし、お腹がいっぱいだったら害虫と対峙しても普通にすれ違って攻撃もしてくれません。どういう風に害虫を認識しているのかわかりませんが、すぐ近くに害虫がいるのに気づかないやつもいます。なので即効性はありません。そして環境にとても左右されます。暑すぎたり寒すぎたり、湿度が高すぎたり低すぎたり。生物農薬の種類によって好む環境は違います。適した環境であれば繁殖して命が繋がれていくのですが、そうでなければいなくなってしまうのです。
LaunchFarmが今年の春にアブラムシ対策で放ったテントウムシも今はもう1匹もいません。おかげさまでアブラムシの被害は今はないので、食べるものがなくなってしまって小さな隙間から逃げてしまったか、絶えてしまったのかもしれません。
無農薬栽培って本当に難しい
食品売り場で並ぶ野菜やハーブを選ぶとき、綺麗なものを選びたくなりますよね。私は生産者側ですがその気持ちはよくわかります。だからできるだけ綺麗なハーブを作りたい。
でも安心安全で綺麗なものを無農薬栽培で作るのは本当に難しいんです。防虫ネットを張っても1mm以下の大きさの害虫もいるので完全に防ぐことはできません。生物農薬を利用しても必ずしも害虫の被害を抑えられるとは限りません。いろいろと試行錯誤して苦労しても自然相手ですから完璧なものを作り上げるというのはずっと続く課題です。
お客様がどのようなものを必要とされているのか。その答えは一つではありません。だから農薬も全てがダメというわけではなくて、しっかりと用法容量を守って、できるだけ最低限で抑えることを常に考えるのが大切かと思います。
けどやっぱり私は安心安全が一番だと思うので、生物の力を借りながら、太陽の光をたくさん浴びて綺麗な水と土で育った美味しい信州産ハーブをこれからもお届けできるよう頑張っていきます!
生物農薬について詳しく知りたい方はこちらのサイトがわかりやすかったです→JCPA農薬工業会、JBCA日本生物防除協議会
ハーブやaddHERBについてもっと知りたい方はこちらへ!
addHERBホームページ:https://addherb.jp/
SNSのフォローもよろしくお願いします!